精神分裂病
精神病とは?
精神分裂病は躁うつ病と並んで「二大内因性精神病」と呼ばれます。
この二つが精神科の患者さんのほとんどをしめるのです。
「精神分裂病」
名前を見るとなんだかとんでもない病気をイメージしませんか?
いったい、精神が分裂するってどんなのでしょうか。
また、神経症とはどういったところがちがうというのでしょう。
では、もう少し詳しく見ていくことにしましょう。
まずは精神病の定義から。
「現実を吟味する能力の障害が起こり、通常の人間の考えとちがった認識を持ってしまう病態」
となっています。
簡単にいうと、「現実と非現実の区別が付かない状態」です。
現実の見当識(日時、場所、人に対する認識つまり、わたしはだあれ、こ� �はどこ状態)
がなくなり、幻覚や妄想がでてきて、日常生活が困ってしまう状態のことです。
そして、精神病の代表格が精神分裂病です。
精神分裂病とは?
まずは定義からいきましょう。
「主に青年期に発症して、幻覚や妄想が出現し、後々人格欠陥を残す病気」です。
精神分裂病の多くは思春期から30歳で発症します。
幻覚や妄想が出現するために現実と非現実との区別が付きにくくなり、
社会生活に支障が出てきます。
人格欠陥とは人柄が多少変わってしまい、無関心な状態です。
それぞれについてもう少し詳しく後で述べることにしましょう。
精神分裂病の発生頻度は1000人に7、8人といわれています。
だいたい、100人に一人と考えられます。
これは 、胃潰瘍と同じくらいの発生頻度なのです。
つまり、けっして珍しい病気ではないのです。
男女での発生頻度の差はないようです。
かつては「不治の病」とされていましたが、
抗精神病薬の発達とともに「治療できる病気」となってきています。
以下、精神分裂病の症状を述べていきますが、
いろいろな視点から、症状がさまざまに分けられます。
とりあえず、片っ端からあげていくことにしてみます。
基本症状
精神分裂病の経過中に必ず出現するといわれる症状のことです。
一般にブロイラーの4つのAと呼ばれることが多いです。
4つのAとは、autism(自閉性)、ambivalence(両価性)、
affectの障害(感情の障害)、association(観念連合の障害)のことです。
それでは詳� �く見ていきましょう。
自閉性とは、「うちにうちに」です。
つまり、自分の内面の世界に閉じこもることです。
内面の生活の方ががぜん優位となっているなっているために、
外の世界(現実)から遠ざかってしまっている状態です。
両価性とは、「愛憎混同状態」です。
同じ対象(親など)に対して全く反対の感情を持つことをいいます。
ただし、神経症などでもよく見られる症状でもあります。
感情の障害は感情が鈍麻(起伏がなくなる)、感情の不安定性(怒ってると思ったら笑い出す)、
何事にも無関心など、感情がとまっているような感じを受けます。
観念連合の障害は、思考内容のまとまりのなさ(支離滅裂)、連想のゆるみ(連合弛緩)などが見られま� �。
この4つのAの中でも特に「観念連合の障害」は精神分裂病の中心的症状といわれています。
精神分裂病といえば「幻覚、妄想」を思い浮かべる人も多いと思いますが、
これは必ずしも経過中に出現するとは限りません。
しかし、これらの症状は出現すればかなりの意味のある症状たちです。
次にこれらの症状の、いわゆる一級症状についてみていくことにしましょう。
一級症状
シュナイダーという精神科医が、これがあって身体の病気がなければ
精神分裂病といっていいような症状を「一級症状」、
そういう価値はない症状を「二級症状」と呼びました。
つまり、一級症状を見とめない精神分裂病もあるのですが、
もしあったら、精神分裂病といってもい� �よ、という意義の高い症状です。
そして、身体の病気とは薬物(アルコール、覚せい剤など)や
ほかの体の病気がないことを確認した上の話です。
一級症状を次の8つに分類されます。
1〜3が幻聴、4〜6が作為体験(させられ体験)に関するものです。
インドは何をしていない
- 孝想化声 自分の考えている内容が幻聴となって聞こえてきます。
その内容が自分の考えだという「思考内容の自己所属性」は保たれています。 - 話かけと受け答えの形(問答形式)での幻聴
自分のうわさをし合っている二人以上の声が聞こえてくる幻聴です。
声同士が問答したり、言い合いをしたり、会話をしている幻聴を患者が聞くものです。 - 自己の行為に口出しをする形での幻聴
実況中継をされているような感じです。
「あ、パンをかじった」「へへへ、まちがったやんの」という風に、逐一コメントしてくる幻聴です。 - 身体への被影響体験
体に盗聴器が仕掛けられている、発信装置が埋め込まれているなど、
自分の体に外からの影響を感じる体験です。 - 思考奪取、その他の思考領域での被影響体験
自分の考えが抜き取られてしまっている(思考奪取)、
他人に考えさせられ自分で考えることができないなど、
思考の領域で他人の影響を感じる体験です。 - その他のさせられ体験、被影響体験
他人に操られているといった感じを受けます。
自分の意思や感情が他人によって支配されていると感じるのです。 - 妄想知覚 あるものに対して理由なき意味付け、関連付けをします。
たとえば、「ここにこのごみがおいてあるのは、自分に対する嫌がらせだ」と言った具合です。 - 孝想伝播 自分の考えが他人に伝わっているというような体験です。
自分の考えた筒抜けだ、察知されているともいいます。
その他の症状
さて、次に経過をおいながら症状をみていきましょう。
今まで述べてきたことと重複するところがでてきます。
大きく分けると二つに分けられます。
「初期症状」と「精神分裂性症状」です。
(1)初期症状
この時点では、はっきりと精神分裂病ということはまれです。
多くは、後で振り返ったときに感じるものです。
多くは周囲からの圧迫感を漠然と感じています。
そのため、落ち着けず不安になり、抑うつ気分になり、罪悪感を感じます。
自殺を考えたり、逆に不自然な高揚感になったりします。
一見すると「躁うつ病」のように見えます。
このような状態を表した言葉に「戦慄」というのがあります。
劇場用語で「舞台袖で出番を待つ俳優の独特な緊張状態」という意味です。
つまり、プレッシャーや緊張感、落ち着きなさと不安、妙な興奮状態などです。
このような状態が、分裂病の初期にみられるようです。
この「戦慄」状態は症状が表面にでてくるタイプです。
逆に潜行的に症状が進み、ある日突然発症するというタイプもあります。
このような場合は「神経衰弱状態」であることが多いです。
漠然とした抑うつ気分であり、不機嫌になり、注意集中することができません。
記憶力・思考力の減退、考えのまとまりのなさから、学校の成績が急降下するなどもみられます。
頭痛や全身倦怠感、不眠などの症状が表面にでてくることもあります。
対人関係では親、兄弟に 対して、激しい敵意を感じるようになります。
この敵意が暴力行為や家出などの行動にでることもあります。
友人とも疎遠になり、孤立感に悩みます。
また、周囲や他人には無関心になっていきます。
閉じこもりがちになり、人と会うのを避けるようになります。
離人感などの自分に関する感覚も変わっていきます。
強迫観念にとりつかれたりして、神経症として治療されていることもあります。
(2)精神分裂性症状
精神分裂病に特徴的な症状です。たくさんあります。
まずは大きく二つに分けます。
外から見てわかる症状(言語、感情、行動、態度)と、
本人の体験(幻聴など)を語ってもらって初めてわかる症状に分けます。
前者を「客観症状」、後者を「主観症状」といい� ��す。
まずは客観症状のほうから。
(これから先は症状の説明です、かなり長くなりますので、
先に病型から読まれて わからなくなったらみるのも一つの方法です)
客観症状
1,思考の障害
思考過程の異常です。
頭に浮かんだ考えをどんなふうに並べていくか、その並べ方のことを思考過程といいます。
そのため、思考の障害があると話の中や文章の中にその(変わった)症状をみることができます。
連合弛緩 | 考えが一つのテーマから他のテーマに何の脈絡もなく飛躍します。 本人はこの障害に無自覚です。指摘されても、不思議に思いません。 連合弛緩が重症になると、話していることが「支離滅裂」となります。 |
支離滅裂 | 話の流れがめちゃくちゃになります。 論理だっておらず、次々に話題が飛んでいきます。 まるで子供にみられるように、統一やまとまりがなくなります。 これが極端になると、全くの理解不能となります。 ただの言葉、単語の羅列になってしまうからです。 この言葉の支離滅裂な羅列のことを「言葉のサラダ」といいます。 |
語唱 | 単語や単文をはたから見ると全く無意味に反復することです。 |
思考の途絶 | 今まで自然に流れていた会話が突然止まります。 本人は考えが突然に抜けたり、他人に奪われてしまったといった体験をします。 |
概念移動 | その人の主感によって考え、言葉の意味内容が独自の意味を持ちます。 社会的に共通している言葉に、勝手に独自の意味を与えてしまうのです。 |
言語新作 | このこと自体は異常なことではありません。 この場合は、その人本人にしか通じないような特殊な意味を持ちます。 また、その人にしかわからない漢字、記号なども作ります。 |
的はずれ 応答 | 質問をすると即座に返答をします。 が、しかし、その内容がまるっきり見当違いの答えなことです。 ただ、本人がその質問を誤解していないのは事実です。 |
2,感情性の障害
精神分裂病ではいろいろな気分の変容、不安定があります。
首の痛みの経済的負担は何ですか?
高揚気分 | 一見躁病のようです。 躁病に比べてエネルギッシュな生命力に欠けるのが大きな違いです。 児戯的爽快とよばれ、抑制にかけ、軽はずみで、大声でしゃべり、傍若無人になります。 |
抑うつ気分 | 抑うつ状態が精神分裂病の発症に先駆けることがあります。 周りに影響されやすいのが、うつ病との大きな違いです。 |
不安 | 初期では、自分の中で起きている人格変化に対して不安を抱きます。 その後は、妄想(特に迫害妄想)によって不安が生じます。 この不安によって、他人との交流を避けようとします。 |
不適切な感情 | そのときの状況と気分状態とが調和していない状態です。 |
感情鈍麻 | 感情の起伏がなくなっていきます。 その場にふさわしい深みのある感情を発揮できる能力が失われていきます。 自分自身の体の状態や対人関係に無関心で無感情となります。 しかし、その実際は無関心という仮面をかぶって感情を隠しているのです。 |
無為 | 意欲減退のことです。 何かをしたいという願望は持っているが、 それを行動に移すエネルギーがありません。 無為でありながら、退屈することはないようです。 次第に清潔とか身だしなみがだらしなくなっていきます。 |
3,両価性
前にも出てきましたが、両価性とは、「愛憎混同状態」です。
同じ対象(親など)に対して全く反対の感情を持つことをいいます。
ただし、神経症やふつうの状態でもよく見られる症状でもあります。
神経症などの両価性では、ある場面だと彼を非常に憎んでいるけど、
ある場面だとすごく愛している。
それは理解できることで、同時に存在することはあまりありません。
精神分裂病の場合だとそのふたつの感情が同じ時に存在するのです。
泣くと同時に笑ったり、愛しているのに瞬時に憎んでいたりといった風です。
4,自閉
両価性とともに自閉は精神分裂病の基本症状の一つです。
自閉は、自分自身の中に閉じこもり、現実との関係を失うこ� ��を意味します。
現実に対する関心を失い、自分の世界に閉じこもります。
さらに、周りで起きる出来事は自分自身と何でも関係づけようとします。
自閉が顕著に現れるのは、対人関係においてです。
他社との感情的な躁通性(ラポール)をなくし、孤立し、どうでもいいようなことに時間をつぶし、
空想的な世界に没頭することがあります。
5,緊張症候群
運動や活動性の障害を意味します。
これらの症状は現在ではあまり見られなくなりつつあります。
見られても、軽症であることが多いようです。
薬物治療が発達した結果と考えられています。
昏迷 | 全くしゃべりもしなければ、動きもしない。 何かをするように促しても、それが聞こえていて理解しているようにもかかわらず、動かない。 しかし、このような状態でも意識は明瞭で周囲の状況に敏感です。 |
カタレプシー | 他人が信じられないような不自然で窮屈な姿勢にその人をしても、 その姿勢をなかなか変えない状態。 |
緊張病勢興奮 | 身体の症状だけでなく、精神運動の興奮も見られます。 絶えず動き回り、歩き回り、頭をぶんぶん回したり、何かを壊しまくったり、 他人に暴力を加えたりすることもあります。また、自分を傷つける自傷行為に出ることもあります。 |
常同 | 同じ単純な動作を繰り返します。 机をずっと指でたたいたり、足を揺すったりする運動常同や、同じ言葉を繰り返す語唱があります。 |
衒奇 | 表情、身のこなし、しゃべり方などがわざとらしくなる。誰かの態度をまねしたりすることもあります。 |
途絶 | 思考の途絶以外にも行動の途絶があります。 ある行動をしようとする発動性と、その行動をやめようとする逆方向の力が 同時に現れる両価性の結果です。 |
拒絶 | 何事に対しても、反抗します。沈黙もその一つです。 |
命令自動 | 拒絶とは逆に、自発的意志がなくなっているように見え、 そばにいる人の行動をまねしたりします。(反響動作) また、人の言う言葉を山びこのように反復することもあります。(反響言語) |
主観症状
1,自我障害
精神分裂病の中核をなす症状です。
離人症 | 初期症状として神経症で見られるような離人症状を見ることがあります。 しかし、神経症のものとは異なった特徴を示すことがあります。 特徴的なのは「自己所属感の喪失」です。 つまり、ある経験が自分のものであるという感覚がなく、 他人によって経験させられているという、次の「させられ体験」に関連することが多いようです。 |
させられ体験 | 自分の考え、感情、行動などが自分がやっているものだという感覚がなくなり、 他人によってそうしているんだと感じることです。外からの影響に支配されます。 それは、電波、催眠術などによるものだと主張します。一種の妄想的な性質も持っています。 思考伝播、思考吹入、思考奪取、思考干渉などがあります。 |
統合性障害 | 人格の統一性の障害が顕著です。 その人は、妄想体験の中で歴史的な高貴な人物(天皇やナポレオン)であると同時に、 商社マンであるのです。 |
2,妄想
一般に分裂病だと、病識(自分は病気であるという感情)がなくなります。
これは、妄想にも当てはまることです。
常に自分の考えていることが正当だと思っていますので、訂正不可能です。
多くは被害妄想であります。
偽feverfを取得する方法を病気で
関係妄想 | 周囲の人々の行動、言動がすべて自分と関係があると確信すること。 |
注察妄想 | 人が多くいる場所などで、みんなが自分を注目して観察していると確信すること。 |
迫害妄想 | ある個人や組織によって、追跡、調査され、迫害されていると考えを抱くこと。 |
被毒妄想 | 食物の中に毒物が入っている、誰かが毒を盛ったと確信します。 |
影響妄想 | 自分は催眠術をかけられているなど外から影響されていると感じることです。 |
嫉妬妄想 | 男女の愛情関係にでてきた被害妄想。 意味もなく不倫をしていると疑いをかけます。 |
憑依妄想 | 神、悪魔、先祖の霊、犬神様、狐が自分に乗り移り言動や行動を支配していると考えること。 |
変身妄想 | 自分が動物や植物に変身したと考える。 |
好訴妄想 | 他人が自分の法的権利を侵害したと確信し、法律的に攻撃を仕掛けます。 |
心気妄想 | うつ病などと比べて、奇妙な訴えが多いです。 |
血統妄想 | 自分は高貴な(天皇や王様)の子孫だと確信すること。 |
宗教妄想 | 自分をキリストの生まれ変わりだとか、神だとか、預言者だとかいった宗教的な妄想。 |
発明妄想 | とんでもない、すごいものを発見したという確信。 |
恋愛妄想 | 誰かに愛されているという確信。 |
分裂病では一時妄想と呼ばれるものが特徴的です。
これは、妄想の起こりかたが、他人からはさっぱり理解できない妄想のことです。
それには、以下の3つがあります。
妄想気分 | 「不気味な漠然とした奇妙な気分で、その感じを限定できない状態」 まわりの気配が何となく変だ、大変なことが起こりそうな気がするなどといった感じです。 この妄想が急に出現すると「世界没落体験」という形で表れます。 世界が異常に変化し、滅亡しつつあると感じたり、革命が起こっていると感じます。 |
妄想知覚 | 「あるものが自分と深く関係があるように感じること」 あの人はきれいだ、だから私は死のう。といったふうに、 前の文と後ろの文には何ら意味の関係が見いだせません。 あるいは、ゴミが落ちているのをみて、もうすぐ地震が来る。といったふうです。 |
妄想着想 | 「突然なにの予告もなしに、深い確信がひらめくこと」 私はナポレオンになった、とか、今、両親が交通事故にあったなどといったものです。 |
3,幻覚
妄想体験が幻覚と密接に関わっています。
幻覚への対応が精神分裂病のメインなのです。
一生懸命幻覚に対応しているので、まわりからみれば
独り言を言ってるとか、部屋に閉じこもってるとか見えるのです。
決して、独り言を言っているのではなく、幻覚への応答なのです。
幻覚もたまにおもしろいことをいいます。そうすると笑いもします(独笑)。
一日中、仕事や学校に行く暇もないくらい忙しいのです。
幻聴 | 精神分裂病においてもっとも頻度が高いものです。 ささやいたり、呼びかけたり、ののしったり、脅しをかけてきます。 声の主は現在周りにいる人か過去にいた人であることが多いです。 |
幻視 | 分裂病ではまれです。 せん妄状態でみられるような幻視は一般的にありません。 |
幻臭 | 被害妄想の延長みたいなものです。 毒が盛られていると確信して、においをかいだり、疑ったりします。 |
幻触 | 身体感覚の幻覚です。 放射線や電波、磁気などに影響されると感じたり、 焼かれ、刺され、うたれ、内臓を引きちぎられる、腐ってくると感じたりもします。 特徴は「〜される」という表現です。 |
病型
今までたくさんの分裂病の症状をみてきましたが、
一人の患者さんにそのすべてが現れるわけではありません。
どの症状がよく見られるかなどによって大きく4つのタイプに分けられることができます。
それらは、発症の年齢や症状などもだいたいにてきます。
また、治療や予後などにも深く関係していきます。
- 妄想型
- 解体型(破瓜型)
- 緊張型
- 単純型
それではそれぞれの型について詳しくみていくことにしましょう。
1,妄想型
頑固な妄想が前面に立つ精神分裂病です。
妄想内容の話さえしなければ、一見分裂病だとわからないくらいです。
妄想の内容は被害妄想もあり、誇大妄想もあります。
妄想が体系化しやすくもあり、日常生活の隅々まで支配します。
そのため、会社や学校に行けなくなります。
発症年齢はほかのタイプと比べ若干遅いようです。
30歳前後、まれに40歳で発症します。
感情障害や自閉性は目立たず、人格崩壊になることも少ないです。
また、急激に発症するのもこのタイプの特徴です。
2,解体型(破瓜型)
思春期から二十歳前後に発症しやすいタイプです。
妄想や幻覚もみら� �ますが、妄想型のように妄想が体系化することがありません。
一見、神経症を思わせるような不眠、頭重感、易疲労感、
注意集中困難、抑うつ気分で始まることが多いようです。
独語、空笑、奇妙な行動、退行的な行動を認めます。
初期症状は目立たなくて、じわりじわりとすすんでいきます。
ほかの病型と比べると、比較的予後が悪いです。
ちなみに、「破瓜」とは瓜をたてにわると、8の字がふたつできることから、
女子の16歳(初潮が起こる時期)の別称で、思春期のことです。
3,緊張型
急性に興奮し衝動的になったり、逆に無言無動(昏迷)になったりする精神分裂病。
興奮と昏迷を繰り返します。
客観的症状が目立ち、急激に悪くなりますが、治りやすいのはこのタイプです。
� ��病年齢は二十歳から三十歳くらいの間です。
4,単純型
幻覚や妄想などの陽性症状は全くみられず、自閉、感情鈍麻、人格症状などの
陰性症状がゆっくりと進行するタイプの精神分裂病。
人格障害との区別が付きにくいようですが、このタイプの分裂病が人格障害に含まれることもあります。
経過と予後
精神分裂病は治っては再発し、治っては再発を繰り返します。
この経過を繰り返していくうちに、もとの人格レベルよりに戻らず、
社会に適応できなくなっていくという経過をたどります。
きちんと治療を受ければ4割は社会復帰が可能です。
しかし、残り6割の場合は通院か入院といったかたちで、一生病院に関わらないといけません。
以前と比べて抗精神病薬をはじめとする薬物療法やそのほかの治療法の確立で、
通院を続けるというパターンが増えてきています。
経過は大きく分けると次の2つのパターンに大別できます。
- 急性−再発型
緊張型や妄想型がこのタイプの経過をたどります。
初期には神経衰弱状態や神経症様の症状を呈しています。
急性期には幻覚妄想などが出現し、慢性期には意欲などが減退していきます。
この初期から慢性期までの経過を繰り返すタイプです。 - 潜行性−進行性
破瓜型や単純型がこのタイプの経過をたどります。
発病はいつ何ともなしに起こります。(潜行性)
そのあとは直線的に悪くなっていきます。
診断
分裂病の原因はまだよくわかっていません。
さらに、診断に役に立つような身体所見や検査所見も発見されていません。
ということで、現状では精神分裂病と診断する方法は、症状、経過、発症年齢、病前性格、
遺伝的素因が加味されて、総合的に判断されます。
それでは、現在主流のDSM−Wの診断基準を掲載します。
1,特徴的症状
つぎのうち2つ以上、一ヶ月以上認める。
- 妄想 特に、誰かに指図されたり、誰かに見張られているといった妄想
- 幻覚 特に幻聴が多い。
- 支離滅裂な会話
- 極端に緊張した行動 全く反応しないか興奮して暴れ回りすぎるのどちらか
- 陰性症状 感情の平坦化、意欲の減退など
2,社会的、職業的機能の低下
上の症状のために、仕事、対人関係、自己管理能力が症状が出る前のレベルより明らかに低下している。
3,期間
これらの症状が6ヶ月以上続く。
参考までにICD-10の診断基準も載せておきます。
1,次のうち1つ以上が一ヶ月以上みられること。
- 考想化声、考想吹入、考想奪取、考想伝播
- 誰かに支配される、影響される、抵抗できないと言う妄想
- 行動や考えに対しての文句などの幻聴
- 超人的な力や身分があるという妄想
- 幻覚が続く
- 思考途絶、言語新作、支離滅裂
- 興奮、常同、昏迷などの緊張病性行動
- 著しい無気力、会話の貧困、感情の乏しさ
- 無関心、目的がない、自分のことに没頭する
原因
精神分裂病のはっきりとした原因は分かっていません。
いろいろな要因が絡まって発症すると考えられています。
その代表的な要因について述べていきましょう。
1,遺伝要因
一般的な人口において精神分裂病の発生は1000人に7.8人です。(だいたい1%)
ある研究によると精神分裂病の患者の兄弟には8%、子供には15%、孫には3%発症したという結果があります。
一卵性双生児の場合、片方が精神分裂病のときもう一方がそうである確率は47%となっています。
(二卵性双生児の場合は、12%)
また、両親ともが精神分裂病であるときには40%が発症すると言われています。
これらのことより、遺伝因子が関係していることが推察されます。
ここで注意したいのは精神分裂病が遺伝する病気(血友病のような)とは考えられていません。
遺伝因子は分裂病への傾向(なりやすさ)を伝達するのです。
精神分裂病発症には多くの要因が関わっているからです。
2,心因の影響
精神分裂病の発病や再発(とくに再発)は心理的ストレスが引き金によって発症することが多いのも事実です。
しかし、まったく心理的ストレスだけで発病したと考えるよりも、
遺伝的素因をもつ人の発病の誘因と考えられます。
その心理ストレスとは一般的にみればすごく些細な、とるに足らないと考えられそうなものです。
しかし、素因がある人には発病を促すものとして大きな意味を示します。
3,脳内の病態生理
多くの抗精神病薬がドーパミン受� ��体を遮断する作用を持ちます。
こららの作用により、精神分裂病の陽性症状を抑えることができます。(陰性症状には無効)
このことより、精神分裂病ではドーパミン神経系の過剰伝達が行われていると考えられます。
そのほかにはグルタミン酸伝達低下などによっても症状が発現するのではと考えられています。
大脳の側頭葉と前頭葉が萎縮して、側脳室が拡大していることもわかっています。
こちらは、陰性症状に関連するのではと考えられています。
治療
精神分裂病の本当の原因はまだ分かっていません。
そのため、どの治療法も基本的には対症療法と言うことになります。
また、病気の時期や症状、社会性などによって、それぞれにあった治療法を必要とします。
治療技法 | 身体療法(薬物、ショック療法など) 精神療法 リハビリテーション |
治療形態 | 入院治療(開放、閉鎖、保護室など) 外来治療 中間施設(デイケア、ナイトホスピタルなど) 社会復帰施設(援護療など) |
それでは、代表的な治療法をあげてみましょう。
1,薬物療法
抗精神病薬を使うのが主流となっています。
これらの薬の出現で、外来治療が可能になっていったのです。
薬物療法ではその薬の副作用が問題となります。
新しい抗精神病薬はその点に注目して開発されています。(副作用が少ないように)
副作用を抑えるための薬を一緒に服用するためどうしても種類が増えてしまいます。
2,電気けいれん療法
非常に興奮した状態などとても限られた状況のときに使われることがあります。
3,精神療法
精神分裂病で精神療法は症状の消失や治癒などを期待することはできません。
ただし、患者と治療者の信頼関係を築くという、大事な意味はあります。
4,リハビリテーション
精神分裂病は徐々に意欲減退や感情鈍麻などが進んでいきます。
そのことは社会生活の適応の低下というかたちでも表れていきます。
リハビリテーションの目的は、その社会生活能力の低下を防止して、
回復を促し、社会に適応を取り戻そうというものです。
一般には「生活療法」ともよばれます。
- 生活指導 起床、洗面、食事、入浴、更衣、就寝などの基本的な日常生活の指導を行います。
- 生活技能訓練 「SST」ともよばれます。
非社交性、外界への無関心、引きこもりなどの対人関係の面を主に向上するものです。 - レクレーション療法 スポーツ、ゲーム、絵画、陶芸などに参加すること。主に慢性期の患者さんに行われます。
- 作業療法 勤労作業を通して自発性や社会性を回復させようとするものです。
農耕、園芸、印刷、木工、手内職などをします。
5,社会復帰のための援助施設
外来治療のみでは十分な社会生活の維持が困難な場合や維持が困難なとき、
入院生活から社会生活に戻る移行段階を必要とする人のためにいろいろな援助施設が利用されます。
デイケア、ナイトホスピタル、援護療、共同作業所などがそれにあたります。
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